【2024年最新】EV充電器の規格にはどんな種類がある?国内外の動向も解説
EV充電器にはさまざまな規格があることをご存じでしょうか。日本や欧米、中国などがそれぞれ規格の開発を進めており、国によって普及している規格にも違いがあります。また、EV充電器の通信規格に種類があることも知っておきたい知識です。
本記事では、EV充電器の規格について、国内外の動向も踏まえて解説します。
EV充電器の種類は2種類
EV充電器は、大きく分類すると「普通充電器」・「急速充電器」の2種類に分けられます。
普通充電器の出力は約3~6kW、急速充電器は20~150kWのものが一般的です。両者は充電速度や想定される設置場所が異なっており、適した活用ケースに違いがあります。
普通充電器と急速充電器の特徴や違いなどについては、以下の記事で詳しく解説しています。
普通充電器と急速充電器は、それぞれに複数の充電規格があり、国や地域によって主流となっている規格が異なります。そこで次章以降では、充電器の規格についてご紹介します。
EV「普通充電器」の規格
普通充電器の規格には、代表的なものとして以下のものがあります。
①IEC62196-2 Type1 (SAE J1772)
日本や北米で主流となっている規格です。日本で販売されているEV(電気自動車)の多くがこの規格に対応しています。IEC(国際電気標準会議)で定められてからは一般的に「タイプ1」と呼ばれておりますが、IEC規格になる前の呼称を用いて「SAE Jタイプ」や「ヤザキ」などと呼ばれたりもします。
②IEC62196-2 Type2 (Mennekes)
主に欧州各国で普及している規格です。欧州では、テスラを除くすべてのメーカーの標準となっています。IEC規格で定められてからは一般的に「タイプ2」と呼ばれておりますが、IEC規格になる前の呼称を用いて「メネケス」などと呼ばれたりもします。
③GB/T 20234.2
SAC(国家標準化管理委員会)が公表している、中国が独自に開発した中国国内の標準規格です。
このように、現在主流となっている充電器の規格は日本と海外で異なり、日本ではIEC62196-2 Type1 (SAE J1772) が主流です。
EV「急速充電器」の規格
次に、急速充電器の規格には、以下のものがあります。
①CHAdeMO(チャデモ)
日本で初めてEV急速充電規格の国際標準として承認された規格です。日本国内の充電スポットは、ほとんどがCHAdeMOを採用しており、日本国内で販売されているEV(電気自動車)も基本的にCHAdeMOに対応しています。
②GB/T 20234.3
SAC(国家標準化管理委員会)が公表している、中国が独自に開発した中国国内の標準規格です。
③CCS1
主に北米で普及しているEV急速充電規格です。
CCSはCombined Charging Systemの略で、普通充電器のコネクタ部分に直流送電コネクタを結合した(combined)形状をしていることから「コンボ方式」とも呼ばれ、普通充電器のType 1の部分をベースとしていることから、CCS1と呼ばれています。
④CCS2
主に欧州で普及しているEV急速充電規格です。上記CCS1に対し、普通充電器のType 2の部分をベースにしていることから、CCS2と呼ばれています。
⑤NACS(テスラスーパーチャージャー)
テスラが独自に開発した規格です。北米では近年スタンダードな規格になりつつあり、自動車メーカー各社は徐々にNACSへの対応を進めています。
⑥ChaoJi(日本・中国)
日本と中国が共同開発した規格ですが、現状ではChaoJiに対応した車両はありません。
以上のように、急速充電器についても、現在主流となっている充電器の規格は日本と海外で違いがあります。これら以外にも急速充電器には多くの規格があり、変化が激しいものの、日本では今のところCHAdeMOが主流です。
CHAdeMOは日本が主導して国際規格となりましたが、世界に視野を拡げると、欧米のCCS1やCCS2、中国のGB/T 20234.3なども国際規格として承認されています。
また、NACSも徐々に利用できる国が拡大しています。
EV(電気自動車)を充電する際は、基本的にEV車両の「充電口」の形が「充電器」の規格に対応している必要がありますので、自動車メーカーはその国や地域で普及している規格に合わせた充電口を搭載する傾向にありますが、テスラなど独自規格で展開しているケースもあります。テスラの場合は、テスラが販売する充電アダプターを取り付けることで、異なる規格でも充電することが可能です。
EV充電器の通信規格とは?
EV充電器の規格には、充電器と、充電器の管理システムをつなぐ通信規格もあります。通信規格については、「充電制御」が可能な充電器を導入する際に知っておく必要があります。
「充電制御」とは、EVの充電時に、充電電流や充電のスケジュールを遠隔で制御できる技術のことです。詳しい仕組みやメリットは以下の記事で解説しています。
EVの普及にともない、充電制御の重要性が高まったことから充電制御を実現するための通信規格も普及しています。主に欧州で普及が始まりましたが、日本でも徐々に「充電制御」に対応可能な通信規格の利用が増えてきています。これら通信規格と充電制御が可能な充電器および管理システムを組み合わせると、充電制御が実現される仕組みです。
この時、充電器および管理システムと通信規格が適合していなければ、「充電制御」を行うことはできません。
通信プロトコルの規格には、①OCPPと②ECHONET Liteがあります。
①OCPP(Open Charge Point Protocol)は、充電器の遠隔制御はもとより、その商用運用に特化して考案・開発された専門規格です。海外ではすでに主流の規格となっています。
すでに多くの国や地域で普及しているため、充電器との相互接続性が高く、世界中の利用者や専門家によって規格の改良が重ねられていることから信頼性が高いという特徴があります。
②ECHONETとは「Energy Conservation and HOmecare NETwork」の略で、もともとは情報家電・スマートホームのために日本が主導して考案した規格で、エアコンや給湯器などの家庭用機器で多く利用されておりますが、EV充電器と管理システムをつなぐ規格としても応用されています。
充電制御可能な充電器を選ぶ際は、まず充電器がどの通信規格に対応しているのか、そして同じ規格に対応している充電器の管理システムとなっているかに注意しましょう。
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ここまでお伝えしたように、普通充電器と急速充電器にはそれぞれ複数の規格があり、国や地域によって主流の規格が異なります。また、通信規格の違いもあるため、充電器選びの際は注意が必要です。
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